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VW–スズキの提携
提携の詳細とVW側の意義

  提携の詳細とVW側の意義 VWはスズキ株式の発行総数の19.9%を約25億ドルで取得、スズキはその半額を上限にVWの株式を取得(約2.5%)する模様。取引は関係官庁の認可を得た後、10年1月に行われる予定。
 長い間アジア地域戦略のための提携先を探していたVWにとっては、スズキはようやく見つかった相手となる。VWでは04年頃よりマレーシアのプロトンとの交渉を進めていたが、07年に断念している。他方、特にインドでは市場シェアの約半分を持つなど、アジア地域におけるスズキの存在はVWには魅力的であった。

 12月の合意では、VWとスズキの最初の提携として、それぞれのブランドでのハイブリッド車や電気自動車の共同開発が含まれている。
 さらにVWではインド市場向け小型車の共同開発も検討している。現在スズキのインドでの最小モデルであるアルトはマルチで生産し、スズキとマルチの両ブランドにて販売しているが、次期アルトの開発では、両社はインド向けに加え欧州での販売も計画している。

 この小型車の共同開発のほか、VWでは欧州市場での小型低燃費車の需要に対応して、スズキのインドでのモデルの欧州市場への導入を検討している。VWとスズキの両ブランドで販売する模様。
 その他、まだ発表されていないが、パワートレーンやコンポーネントの共有、生産施設の共用化なども進められる模様。また競合しないモデルについては、ディーラー網の共有もあり得る。

 VWはいずれスズキを完全子会社化するものとの憶測もあるが、鈴木修会長兼社長は「スズキはVWの12番目のブランドになったわけではない」と、30年間率いてきた会社が傘下に収まることを意図したものではないことを明言している。 とはいえ鈴木会長兼社長は80歳と高齢であり、後継者問題を抱えていることもあって、長期的には完全子会社化の可能性が無くなったわけではない。

 VWでは今回の提携を、18年までに販売台数でトヨタを抜き、世界 最大の自動車メーカーとなる長期計画の一環としている。しかし他メーカーの買収での規模の拡大によってトヨタを抜くことは本当の成功とは言い難い。トヨタはダイハツやレクサスに頼るだけではなく、トヨタブランドを発展させることによって現在の地位を得たのである。



 

提携の成功の可能性は?

 この10年間、自動車産業ではいくつかの合併や提携があり、それぞれ高い相乗効果が期待されたものの、その多くは短期間で失敗に終わっている。例えばBMWとローバー、GMとフィアットやスバル、ダイムラーとクライスラーの合併及び三菱や現代との提携、フォードとボルボは近年の合併・提携の失敗例と言え
よう。スズキとGMとのつながりも、GMの破綻によって終了している。
 もちろんルノーと日産の良好な関係は成功例として挙げられる。
 今回のVWとスズキの提携は、両社が強みを持つ上での提携であることから、勝算は高いものと思われる。
 スズキは日本では小型車に特化した小規模のメーカーではあるが、国内の景気低迷の影響を上手く回避しており、ここ23年間では1年を除き連結で営業、純益とも黒字を維持している。VWの利益はそれほどの安定性は無いものの、しかし近年は利益を大きく伸ばしている。
 むしろVWの過剰展開のほうが懸念材料となり得る。VWではアウディ、ベントレー、ブガッティ、ランボルギーニ、ポルシェ、セアト、シュコダそしてVWの8乗用車ブランドの他、VW商用車に加えMANとスカニアのトラック2ブランドを傘下に持っているが、同社がこれらブランドを最適に運営する能力を持っているか疑わしい。またスズキのモデルはVWの主力であるVW、セアト、シュコダブランドとは競合関係にあるため、その調整の必要も出てくる。
 しかし両社の関係が完全子会社化ではなく提携関係にある間は、成功する可能性が高いものと思われる。
両社はそれぞれの事業に干渉されることなく最適化に集中でき、モデルレンジの重複や競合の影響も最小限にとどまるだろう。

………………… まとめ …………………
 09年中は信用危機の影響により、主要自動車メーカーのほとんどで利益が減少するか赤字に転落している。全ての自動車メーカーはコスト削減策を模索しており、自動車業界内ではメーカー同士の合併や提携、またそれらの噂であふれた。
 実際の動向としては少なかったものの、フィアットのクライスラー買収、PSAと三菱の関係強化、そしてVWとスズキの提携は大きなニュースとなった。
 買収政策により規模の拡大を続けてきたVWの歴史から見れば、将来的にスズキを完全子会社化する野心を持つ可能性は排除できない。しかしこの誘惑に打ち勝つことができれば、この提携が両社に利益をもたらす可能性は十分高いものと思われる。

(10/1/25 mobi21 2月号より転載。購読申し込みはこちら